「必要ないモノは買わないで」 パタゴニアが国内初の古着専門店で掲げたメッセージの真意9月26日までの期間限定(2/2 ページ)

» 2021年09月07日 09時30分 公開
[熊谷紗希ITmedia]
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店内には修理カウンターも

 衣服の寿命を9カ月延ばすことで、二酸化炭素排出量は27%、水の使用量は33%、廃棄物を22%削減できるという。国内ではアパレル製品の66%は埋立地行きか処分されてしまうのが現状だ。パタゴニアは消費者が「モノを長持ちさせたくなる」仕掛けとして修理サービスを提供している。

 同店では、リペアスタッフがストアに常備している部品との交換や、衣服に空いた小さな穴をふさぐなどの簡単な修理を受け付けているという。もちろん通常ストアではその他の修理にも対応する。

「修理は急進的な行為」というメッセージとともに修理の実演スペースを設けている

 近年、古着回収やリサイクルなどの取り組みはアパレル業界でも広がってきた。リーバイスは、21年5月に一部店舗で古くなったデニムの修理と着なくなったデニムをポーチやトートバッグ、クッションカバーといった新しい形に生まれ変わらせるサービスを開始した。

 パタゴニアは衣服修理の取り組みとして、日本では19年から「つぎはぎ」というトラックを走らせている。スキー場や大学を訪れ、破れやひっかき傷、破損したファスナーなどの補修方法をアドバイスし、客自身が洋服を修理するイベントを各地で開催。パタゴニア製品以外の修理にも対応しており、19年の参加者数は7950人に上った。

店内には「つぎはぎ」の歴史についての掲示も

 環境に配慮したさまざまな取り組みで業界を先導するパタゴニア。衣服廃棄問題の解決に向けて、今後ファッションブランドはどのような取り組みを進めていくべきなのだろうか。

 同社の担当者は「焼却や埋め立て処分されないために、製品の寿命を最大限長くすることが重要です。現在は、アパレル産業自体が環境に悪影響を与えてしまっている状態。与える害を最小限に抑える取り組みを続け、他の企業の皆様にも伝え続けていきたいと考えています」と話した。

リペアスタッフが見せてくれた布を充てて修理したリュックサック

 同店は9月26日までの期間限定。オープンして2週間程度だが、来店客からの反応もポジティブなものが多く、売り上げも予想を大きく上回っているという。今後の展開については「今回のポップアップは同社にとってファーストステップです。お客様のニーズをくみ取りながら進めたいと考えています」(パタゴニア担当者)とのことで、通常店舗としての展開については未定だという。

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