「沖縄は危ない」試練再び 修学旅行8割キャンセルの苦い記憶沖縄観光に逆風(1/3 ページ)

» 2021年09月11日 16時00分 公開
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 米中枢同時テロから11日で20年となる。沖縄県内に集中する米軍基地絡みの「風評被害」で、修学旅行が軒並みキャンセルになるなど沖縄観光は大きな打撃を受けた。その後、観光客は回復し、県の主幹産業として成長を続けてきたが、昨年からの世界的な新型コロナウイルス感染拡大で、かつてない観光客の落ち込みに直面している。繰り返される観光危機にどう向き合い、備えるべきか。業界からは危機管理のための基金創設を求める声もある。(政経部・伊禮由紀子)

団体キャンセル25万人

 2001年9月11日のテロ発生直後、県内の米軍基地の様子が連日報道されたことや、一部で沖縄への修学旅行に対する注意喚起が出されたことを発端に「沖縄全体が危ない」という風評が全国的に広がった。その影響で団体旅行のキャンセル人数は約25万人に及び、そのうち修学旅行のキャンセル数が全体の8割を占めた。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「団体旅行を主に扱うホテルは大打撃を受けた。直後は不安が大きかった」と振り返る。

 当時の県観光リゾート局は、特別対策班を立ち上げ国への予算要求に奔走し、官民一体となった「だいじょうぶさぁ〜沖縄」キャンペーンを実施。修学旅行を予定する学校を巡り、沖縄の安全性の発信に努めた。結果、02年1月以降は国内客がほぼ前年並みに回復。沖縄ツーリストの東良和会長は「沖縄旅行から手を引く事業者も出る中で、この事件が修学旅行の誘客に本腰を入れて取り組むきっかけになった」と語る。

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