ドラマなんかでは、普段はまったくさえないシニア社員が、主人公である若手社員などにベテランらしいアドバイスをしたり、その積み上げた知見によってピンチを救ったり、なんてシーンがよくある。が、現実の窓際シニアは周囲のモチベーションを下げてしまう。
パーソル研究所が、21年1月に全国のシニア従業員3000人、若年従業員3000人を対象に調査を実施したところ、「シニア従業員が活躍しておらず、 疎外感・仕事の不透明感のある職場は、若年社員の転職意向を高めていた」ことが分かったのだ。
例えば、社内のシニア従業員の仕事が不透明だと感じている20〜40代社員の転職意向は47.0%なのに対して、不透明だと思っていない20〜40代社員の転職意向は21.5%だった。
これは皆さんも覚えがあるのではないか。社内で何をしているのかよく分からないのに、明らかに自分よりも高い給料をもらっていて、偉そうにしているおじさん社員があふれていたら、「この会社、終わってんな」と転職サイトのチェックを始めるのではないか。
このような時代の変化を踏まえれば、45歳定年制は普及していくしかないのは明らかだ。
しかし、新浪社長を見ても分かるように、日本ではそういうことを経営者が言い出すと、フルボッコにされる。あいつは菅首相の経済ブレーンだとか、竹中平蔵氏と考え方が近いぞなんだと、本筋ではない部分が注目を集めて最終的には問題先送りとなる。要は、「触らぬ神は祟りなし」となるのだ
先ほど紹介したように、誰もが知るような大企業であっても、実際は45歳でどんどん退社へ追い込まれている。終身雇用なんてファンタジーはもうとっくの昔に崩壊している。
が、うっかりそれを口にしてしまうと袋叩きにあうので、「シニア人材の活用」「セカンドキャリア支援」など当たり障りのない話でお茶を濁してきた。実は45歳定年制という取り組みは、1970年代にある大企業で唱えられたが、批判されてすぐに引っ込めている。つまり、われわれはこの50年、同じような議論を延々と繰り返しているだけなのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング