ボルトン・コンサルティングによれば、企業がイノベーションを生み出せる体制になるには、次の5つの要素が必要になる。
1つ目は、明確なビジョンである。一貫したはっきりとした目標がなければイノベーションは生まれない。価値創成も鍵となるし、新しい価値を作るためにどんな人材が必要になるのかも明確にする必要がある。
2つ目は、イノベーションの領域をはっきりすること。どのターゲットの利益になるようなイノベーションなのかを明確にすることが大事だ。
3つ目は、業績評価をきちんと行うこと。また、従事者をやる気にさせるためのインセンティブも明確にする必要がある。そうすることでモチベーションにもつながる。さらに言うと、失敗を認めることも必要だ。
4つ目は、プロジェクトマネジメントの重要性だ。特に、効果的にイノベーションを生むにはさまざまな分野の専門家や客観的な視点をもたらす人材も大事になる。ただチームは小さいほうがいい。
最後は、リーダーがプロジェクト関係者に、プロジェクトに携わる特別感を提供すること。それを組織内のカルチャーにすることも効果的だ。
以上である。企業がイノベーションを生むことは企業そのものにとっても、社会にとっても有益である。別にそれが「空飛ぶクルマ」のような壮大なプロジェクトである必要はない。冒頭のおならのニオイ消しパッドを生み出した企業もまた、ある意味ではイノベーションにはなり得るメンタリティを持っているのかもしれない。
コロナ禍で生まれたファイザーのイノベーションのように、ポストコロナにどんなイノベーションが生まれるのか、楽しみである。
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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