「今日の仕事は、楽しみですか」が炎上 なぜこの広告が世に出たのか“いま”が分かるビジネス塾(2/4 ページ)

» 2021年10月12日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

「意識高すぎ」の企業かも

 ちなみにこの広告を掲載したのは、ニュースアプリ「NewsPicks」を展開するユーザベースの関連会社である。同社はニュースアプリで急成長したベンチャー企業だが、過去にも広告の内容で物議を醸したことがあるほか、同社の経営姿勢については一部の論者が批判している。

 同社は2018年「さよなら、おっさん」というキャッチコピーを作り、新聞に一面広告を掲載したが、「中高年男性に対する差別的な文言だ」という批判が集まったことがある。

NewsPicksの広告「さよなら、おっさん。」が話題に

 NewsPicksというアプリは、各社のニュースを配信することに加え、ピッカーと称する一般人を含むコメンテーターが記事に対してコメントし、コミュニティーを作ることをウリに利用者数を伸ばしてきた。だが、書き手に対する単なる「誹謗中傷のプラットフォーム」(千葉商科大学国際教養学部准教授の常見陽平氏)になっているとの批判もあり、同社社員が書き込んだコメントに対して書き手が激しく抗議するという出来事もあった。

JR東日本中央本線の中吊り広告

 一般読者によるコメントのみであれば、多少行き過ぎた内容でも、書き手も受け流すかもしれない。だが、プロのコメンテーターでもない同社の社員が、自社が配信した記事(つまり自社の商品)に対してエラそうに「マウンティング的にネガティブな言葉」(ノンフィクションライターの石戸諭氏)で批判しているのは確かに異様な光景ではある。これを当然視してきた同社の社風や、過去に物議を醸した広告コピーなどから考えると、常見氏が指摘するように同社は「意識高すぎ」(常見氏)の企業なのかもしれない。

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