「今日の仕事は、楽しみですか」が炎上 なぜこの広告が世に出たのか“いま”が分かるビジネス塾(1/4 ページ)

» 2021年10月12日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

 品川駅のコンコースに大量に表示された「今日の仕事は、楽しみですか。」という広告が大きな批判を浴びた。広告を出稿した企業は謝罪し、配信を停止したが、当該企業はブランディングのつもりでこの広告を出したようである。日本はマーケティングの概念が十分に浸透しておらず、宣伝とブランディングを取り違え、逆効果となる企業が少なくないが、今回のケースもこれに該当するかもしれない。

広告掲載についてお詫び(出典:ユーザーベース)

「ディストピア」などと批判が殺到

 品川駅には改札口から超高層ビル街まで長い通路が設置されている。通路の幅はかなり広いが、それでもビル街に勤務するビジネスパーソンの数は多く、朝は改札からビル街にかけて、夕方にはビル街から改札にかけて、通路がびっしりと人で埋まり、皆、同じ方向を向いて歩く。駅の構造上、仕方がないのだが、品川駅を利用する人の中には「月曜日の朝などは気分が滅入る」といった感想を持つ人もいるようだ。

品川駅の通路に「今日の仕事は、楽しみですか。」の広告(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 この通路には、数十台のディスプレイ広告が設置されており、広告を出稿した企業は、数十台のディスプレイに一斉に「今日の仕事は、楽しみですか。」という広告を表示させた。広告が表示される時間はそれほど長くないが、同社の社長が自らのツイッターで「今日から、品川駅コンコースを全面ジャックして僕らのメッセージを発信していきます」と写真付きで大々的に告知したことからネットに拡散。これに対して「不快」「社畜回廊」「ディストピア」などといった批判が殺到した。

 その後、社長が「配慮を欠く表現だった」とツイートし、企業としても「当駅利用者の方々への配慮に欠く表現となっておりましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪する結果となった。

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