みんなの銀行は、ネット銀行と何が違う? 銀行なのに絵本のようなアプリ金融ディスラプション(1/3 ページ)

» 2021年10月15日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 福岡地域の地銀グループ、ふくおかフィナンシャルグループ傘下として、「デジタルバンク」をうたい5月に開業したのがみんなの銀行だ。既存の銀行の仕組みから切り離し、スマホ専業銀行としてスタート。アプリは36万ダウンロード、15万口座をすでに獲得した。

 銀行らしからぬ、まるでフィンテックスタートアップのようなアプリのUIUXはどうやって生まれたのか? またみんなの銀行は何を目指すのか。みんなの銀行のIT責任者である宮本昌明氏に聞いた。

みんなの銀行執行役員CIOと、みんなの銀行のIT開発を行うゼロバンク・デザインファクトリーの取締役CIOを兼務する宮本昌明氏(みんなの銀行提供)

銀行アプリのイメージと一線を画す

 みんなの銀行のアプリを開いてまず驚くのが、そのUIだ。モノトーンかつイラストを使ったデザインで、かつ大変シンプルな作り。“銀行”と聞いてイメージするアプリとは全く違う。

 「いままでの銀行アプリは、銀行っぽさが残っていた。一方で、しょうがないよね、とユーザー側も受け入れていた。みんなの銀行のデザインは、なるべくシンプルに、ミニマルに、フリクションレスを目指すというところからスタートしている」

 と宮本氏は言う。考えてみれば、本来銀行の機能として最低限必要なことはそれほど多くない。残高が確認できて、振込ができ、利用明細が確認できれば多くの場合、用は足りる。「シングルページ、シングルアクション、文章はほとんどなく、絵でイメージして操作できることを目指した」というが、確かにそれが形になっている。

みんなの銀行アプリのイメージ

 みんなの銀行の場合、目的別口座を自由に作れることをウリとしているが、それも画面上の並んだ四角が口座を示していて、口座間を指でドラッグ&ドロップすれば、それで振替ができるようになっている。

 意外に良かったのが、ログインの際の認証だ。銀行アプリの多くは、セキュリティを重視するあまり、IDとパスワードだけでなく、別途乱数表を見て入力させたり、メールを受け取ってそこに書いてある数字を入力したりと、とにかく認証が面倒だ。ところが、みんなの銀行では、IDとパスワードでログインすれば、振込などでも追加の認証はない。ログインも、生体認証を設定すればIDやパスワードの入力も不要だ。

 「セキュリティはUIとは別次元の話。ログインするときのIDとパスワードという記憶だけでなく、2つ以上の要素を使って認証するというのが、よくあるパターン。ただし、みんなの銀行は1人1口座しか作れない。また口座を作ったそのデバイスでしか取引できない」(宮本氏)。パスワードという記憶要素と、スマートフォンというデバイス自体が物的なキーとなり、セキュリティを確保しているのだという。

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