という話を聞くと、「ハリウッド作品に中国人女優を主役にゴリ押ししたり、中国を悪役に描かないようにするだけでしょ」という感想を抱く人が多いかもしれない。確かに、中国資本の入った映画『トップガン』では、前作で主役のフライトジャケットにあった日本と台湾の国旗が消えていた、なんて話があるように、「映画のプロパガンダ利用」という問題もあるが、実はこれらの買収で中国映画のレベルも上がっているのだ。
例えば、これまで中国でヒットする作品は海外の大作映画だった。ジェトロの「中国映画/テレビ市場調査」という資料によれば、17年の興行収入トップ10のうち国産映画は4本のみで、あとはハリウッドなどの海外映画だ。
しかし、20年にはトップ10のすべてが中国国産映画になっている。もちろん、これには新型コロナの影響もあるだろうが、中国映画への「評価」が上がってきたことも無関係ではない。
『中国の人々は今、理性的に映画を選ぶようになっており、「ハリウッド映画」というだけの理由でそれをリスペクトすることはなくなり、おもしろい国産映画に対しても、より高く評価するようになっている』(人民網日本語版 2021年01月05日)
なぜ評価されるのか。一つには、「国潮」という国産ブームがある。「爆買」に象徴されるように、中国ではかつて「日本の化粧品は品質が高い」と大人気だったが、現在は中国の化粧品メーカーが人気となっている。愛国心の高まりから、「国産」が支持されているのだ。
当然、これは映画にも当てはまる。20年、中国でもっともヒットした、『エイト・ハンドレッドー戦場の英雄たちー』という映画は、日中戦争が舞台で日本軍が悪者なので、どういう内容かは見なくても分かるだろう。
ただ、この映画がヒットしたのは「中国人の愛国心を刺激したから」という単純な話ではない。総製作費が日本円で80億円なので、ハリウッドのエンタメ大作と同じレベルだ。ちなみに、メジャーな邦画の平均制作費が3.5億円である。実際、カネにモノを言わせて、『X-MEN』『ロード・オブ・ザ・リング』のVFXスーパーバイザー、ティム・クロスビーが参加している。
ただ、カネを注ぎ込んでも大スベリすることもあるのが映画ビジネスの恐ろしいところだが、この作品はちゃんと結果を出している。全世界で4億6100万ドル以上の成績を残して、20年の世界の興行収入ランキングで1位になっているのだ。
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