賛成派が提示する忘年会のメリットは、次のようなものだ。
つまり、組織内コミュニケーションの円滑化や、場合によっては自分自身のメリットにもつながるというわけだ。確かに、人事も評価も人のやることであるから、忘年会のような場で上司や評価者と接することで彼らの考えに触れれば「組織内で評価されるポイント」も把握でき、結果的に評価や昇進を得やすくなる、という構図はあり得るだろう。従って、「自身の実績だけでPRできるほどの圧倒的な優秀社員でない限り、忘年会に参加して顔を売っておくメリットはある」という主張も一理ある。
ただ、こうした忘年会賛成派の意見を注視していくと、「忘年会嫌悪派」ともいうべき人々のイメージする忘年会と、全く違うスタイルの忘年会を実施していることが分かった。
肯定派の意見をまとめると、彼らが実施している忘年会は次のようなものとなる。
そう、肯定派と嫌悪派とでは、全く違う忘年会を体験しているのである。「社員の慰労」とか「若手とコミュニケーションをとるチャンス」などといいながら上司がふんぞり返ってお酌を受けている多くの会社とは異なり、肯定派における忘年会とは「良い雰囲気の職場」の延長線上にあったのである。
つまり、忘年会そのものが悪いのではなく、あくまで旧態依然とした忘年会スタイルを貫く企業の体質が悪いのだといえる。
コロナ禍以降、組織内のコミュニケーションにまつわる課題感が大いに議論される流れとなっているが、その中で、「テレワークやオンライン会議では部下とうまくコミュニケーションが取れない」と文句をいう管理職をよく目にする。ただ、よくよく普段の仕事ぶりを見てみれば「常日頃からコミュニケーションの質も量も足りず、結果的に部下との信頼関係が築けていなかった」というケースも多い。
コミュニケーションを問題視するなら、まずその前時代的なコミュニケーションスタイルから改善すべきでは、というわけだ。同様に、職場の忘年会を組織内コミュニケーションの円滑化に寄与させるためには、従来のスタイルを改めなくてはならない。
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