美大はどんな「人材」を送り出しているのか 「普通の会社」で働くために履歴書指導の意味(3/4 ページ)

» 2021年12月23日 09時16分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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確実に広がった選択肢

 キャリア教育にベストはありません。長年取り組んできた理系大学院生向けキャリア教育において、私は最も経験と知見を持っていると自負しています。(持ってるだけですが)

 「美大生にはポートフォリオ」が重要なことも重々理解し、それを否定する気は一切ありません。

 ただ秋田美大のように、卒業生のほとんどは「会社員」になるのです。その半分は普通の会社員であって、デザイナーやAD(アートディレクター)などのクリエイティブ職ではありません。普通の会社員になるんだったら美大に行く意味がない、のでしょうか?????

 東北大や東工大といったトップ大学院の修士/博士を修了して、製造部門や営業部門で働くOBOGは山ほどいます。理系トップ大学院修了者全員が研究者・研究職に就くことはありません。理系トップであれ、美大であれ、「普通の会社」に「普通の職務」で入社するのがマジョリティなのです。もちろんそれは負け組でもなんでもなく、理系出身社長の多くは研究所ではなく製造部門出身であり、理系で営業までできれば会社を背負う基幹業務を2つとも押えることになります。

 発想力や表現力に加え、ヨゴレも気にせず制作を実践できる美大生。現場仕事もIT(イラストレータ)対応までやります。(男女ともけっこうな力持ちもいる)

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