2021年の自動車販売隠れトレンド、箱型&スライドドア 5年前のモデルがランキング上位に鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)

» 2021年12月29日 07時00分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]

SUVではない、実際に売れたクルマ

 とはいえ、実際に売れているクルマを並べてみると、また違ったトレンドが見えてきました。

1-11月のモデル別販売台数ランキング(日本自動車販売協会)

 まず、登録車でいえば年間販売ランキング(11月までの累計)でトヨタのコンパクトカー「ルーミー」が2位となっています。そして4位に約9万台を売ったトヨタの「アルファード」がランクイン。軽自動車に目を移せば、トップはホンダの「N-BOX」、2位はスズキの「スペーシア」で約12万3000台、3位はダイハツの「タント」の約10万6000台となります。

 ここで名前が挙がったクルマの共通点は何でしょうか?  それは、どれもが箱型のボディにスライドドアを備えていることです。

 特に軽自動車では、箱型ボディ&スライドドアはトップ・セールの必須スタイルとなっています。

 実際にスズキは8月に「ワゴンRスマイル」というスライドドアを備えた新型モデルを投入。これは、16年に投入されたダイハツのスライドドア付きの「ムーヴ・キャンバス」がヒットしているのを追撃するのが目的です。

スズキのワゴンRスマイル

 また、登録車の販売ランキング上位に食い込んできた「ルーミー」も「アルファード」も、すでに発売されてから何年も過ぎた、正直、古いモデルです。「ルーミー」のデビューは16年、「アルファード」はもっと古くて15年。もう5年も前に出たモデルが販売ランキング上位に顔を出すなんて、製品の魅力というよりも、世のトレンドが理由としか考えられません。

 ちなみに20年の「ルーミー」は年間販売が約8万7000台でランキングは6位、「アルファード」は約9万台で5位。この数字は12カ月分です。つまり、今年のまだ発表されていない12月分をプラスすれば、どちらも昨年よりも今年の方がたくさん売れているのです。

 つまり、軽自動車も登録車も「箱型&スライドドア」のクルマが非常にたくさん売れたのが21年だったのです。

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