Q 営業部門で勤務しています。業績の評価は、営業部門で達成した営業利益の大きさで評価されています。自部門で達成した「売り上げ」から、自部門でかかった「費用」を引いた利益で評価されるのであれば納得できます。
しかし、本社の部門である、経理部門やシステム部門の費用が「本社共通費の配賦」などと呼ばれて、私の部門の費用にされています。自部門の支出でもない「本社部門のコスト」を負担させられた上で計算される利益を、自部門の「営業利益」といわれて評価されることに納得ができません。なぜ、本社共通費を配賦するのでしょうか?
A 「本社共通費を配賦する意味」は、「各部門で達成した売り上げ」から「各部門でかかった費用」だけを引いて利益を計算した結果、赤字になっている部門が一つもないのに、会社全体の利益が赤字になってしまうことがあるので、そういったことが起こらないようにする狙いがあります。
例えば、各営業部門が以下のような状況だったとします。
(1)営業1部:売上高100万円、自部門費用80万円
(2)営業2部:売上高100万円、自部門費用80万円
(3)営業3部:売上高100万円、自部門費用80万円
3つの営業部門は、それぞれ20万円ずつの利益を上げているので、合計で60万円の利益を生んだことになります。
まずは赤字でなくてホッとしそうなところです。
しかし、会社としては、経理部門やシステム部門などの「本社部門」でも人件費を始めとして、さまざまな費用が発生しています。もし本社部門の費用が70万円かかっていたら、会社組織全体としては、10万円の赤字になります。
経営会議などで部門ごとの利益ばかりに目が行って、会社全体の費用を忘れていると、決算をした結果、会社が赤字になってしまうと「誰の責任で赤字になったのか!」という声が出てきます。
従って、日ごろから、各部門が達成すべき利益を計算する際に、会社全体に関わる費用を、「本社費」として各部門の費用を含める手続き(配賦)を行うことが一般に行われているのです。
「思わぬ赤字」にならないように、本社共通費の配賦を行うことについては理解できました。
しかし「まだ納得できない」という方もいるかもしれません。それぞれの部門には直接かかわらない本社共通費を、それぞれの部門が納得できるように配賦されている感じがしない、といった理由です。
こうした疑問については、次回のQ&Aで取り上げます。
株式会社Dirbato(ディルバート)公認会計士
青山監査法人、プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社を経て、株式会社ディーバを設立。連結経営システムDivaSystemを開発し事業を展開。導入実績400社を超えた、上場1年前に後進に譲り独立。
財務経理の現場と経営との関連にこだわり、課題を探求し、解決策を提示し続ける。財務経理向けにサービスを提供する業者へのコンサルティングも実施。
現在、株式会社Dirbato(ディルバート)で財務経理DX事業責任者として活動中。
https://www.dirbato.co.jp/news/20210330.html
株式会社Dirbato(ディルバート)
コンサルティンググループ 財務経理DX事業統括責任者 シニアマネージャー CISA(公認情報システム監査人)CIA(公認内部監査人)CGEIT(公認ITガバナンス専門家)
パブリックセクター(地方公共団体、独立行政法人など)、金融/製造/サービス業を中心に事業継続計画(BCP)、システム監査、情報セキュリティ監査、認証局監査、内部監査体制構築支援、導入支援、内部統制構築支援、ISO(9001、20000、27011)認証取得支援などのプロジェクトに従事。そのほか、個人情報保護対策構築支援、脆弱性検査、調査研究などについても複数経験。現在、株式会社Dirbato(ディルバート)で財務経理DX事業の統括責任者として事業企画、プロジェクト推進に携わる。
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