「関西スーパー争奪戦」は始まりにすぎない!? 関西進出を狙う「オーケー」の恐るべき“実力”34期連続増収(3/4 ページ)

» 2022年01月31日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

高効率経営のカギは?

 同社の高効率経営のカギはどこにあるのか。それは、次の生産性指標で見るとよく分かります。

 オーケーの最大の強みは何といっても売り場力にあります。1店舗当たりの売上高が高いのが特徴です。数字と売り場実態の両面から探っていきます。

(1):背の高い什器(じゅうき)で生産性を高める

 オーケーでは1店舗当たりの売り上げは年々上昇しており、21年度は40億円となっています。以前紹介した、埼玉の高収益スーパー「ヤオコー」の場合、1店舗当たりの売り上げが25億円ですから、ヤオコーの1.6倍です。立地や売り場面積も異なりますので単純比較はできませんが、オーケーの店舗効率は高いといえます。

 小売業の代表的な効率指標である、年間1坪当たり売上高(年坪≒坪効率)に換算すると800万円を超えています。日本の一般的な食品スーパーの坪効率が294万円ですから、2倍以上の効率です。高効率の代表格、コストコでさえ坪効率は740万7000円(20年時点)なので、オーケーの高効率ぶりが目立ちます。

 同社の売り場づくりには一つの特徴があります。什器の背丈が「高い」のです。新しい店舗では写真にあるような什器になっており、隣の売り場がまったく見えない高さです。什器最上段には在庫が陳列されています。飲料は冷やさずに売り、ギリギリの高さまで商品を積み込むことでバックヤード在庫を減らし、商品の回転率を上げる努力をしています。在庫だけを多く陳列しても客数が少なければ回転率が落ち商品鮮度が悪くなります。客数が読めるオーケーだからこそできる技といえるかもしれません。

背の高い什器に商品を詰め込む

(2):やりがいのある職場づくりで生産性を高める

 オーケーの店内では、同社のスタッフが品出しをしている場面によく出くわします。特にエンド商品はよく売れるので陳列棚が空いてしまうことがあります。そこに商品を追加投入して、営業時間内ギリギリまで棚が空っぽにならないように売り場を作ります。部門ごとの数値責任を明確にしていているからできることです。同社では、労働分配率40%以上を確保しています。若いうちの給料は低いようですが、部門責任者(チーフ)以上になって売り上げ予算を達成すると、通常の賞与に加え四半期ごとに特別賞与もでます。特別賞与の上限は年収の60%。年収1000万円の人なら、最大で1600万円まで稼ぐことができるという仕組みです。頑張れば頑張るだけ報われる仕組みによって、従業員がよく働く会社になっているのです。

オレンジ色のジャンパーのスタッフがよく動く

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