花王製品を締め出したオーケー 値上げ宣言は「生意気」なのか?長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2022年03月09日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

スタンスが揺らいでいる?

 オーケーは、2021年度「JCSI(日本版顧客満足度指数)」スーパーマーケット業種にて、顧客満足1位を獲得した(日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が2月22日に発表)。オーケーが1位を獲得するのは、なんと11年連続。しかも、今回はJCSIが定めた6指標(顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足、推奨意向、ロイヤルティ)において、全てが1位とダントツの評価だ。

 オーケーの良い所は、並べている商品それぞれについて、社員が選定する理由を持っている、もしくは持っているように見えることだ。単に毎日安いのではなくて、セレクトショップの要素がある。社員が真摯(しんし)に商品と向き合い、生活者の便益のために選んでいるところが、「高品質」の証なのである。

 多くの商品で、値札の上に一言コメントが書いてあるが、気が利いている。

花王の製品の数々(出所:花王公式Webサイト)

 例えば、筆者が訪れた店では「アタック 高活性バイオEX つめかえ 810g」に対して「水30Lに対して18g使用」とコメントされていた。しかも、その隣に花王株式会社とクレジットされた別の説明書きもある。そこには「ドラム式洗濯用専用洗剤について」とある。「タテ型洗濯機に比べ、少ない水で洗うため汚れの濃度が濃くなるドラム式洗濯機使用時に発生しがちな『汚れ戻り』を防ぐ成分を高配合したドラム式専用の衣料用洗剤です」と説明してある。このように、当該商品の特長をしっかり伝えている。

 オーケーで並んでいる商品は、必ずしも各カテゴリーのトップシェアではないが、社員がきちんと選んでいるから信用できるという信頼感があるのだ。

 ところが、2月16日に発表された「花王株式会社製品の取り扱いについて」という文書では「お客様のご要望に応じて取り扱いの再開も検討」としている。いったんは見直す、つまり取りやめると言っておきながら、本心では花王製品を売っていきたい意向が透けて見える。

2月16日に発表された「花王株式会社製品の取り扱いについて」(出所:オーケー公式Webサイト)

 オーケーのスタンスはぶれている。自社では決められず、ボールは顧客側にあるとしてしまっている。想定した以上に、花王の製品を売ってほしいという顧客の声が届いていると思われる。

顧客の意見次第で、花王製品の復活も

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.