社員9人で米ナスダック上場 日本のベンチャーWarranteeが進める“無料保険”とは何か金融ディスラプション(1/3 ページ)

» 2022年03月15日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 東京証券取引所を飛び越して、2月に米ナスダック市場に上場申請を行った日本企業がある。庄野裕介氏がCEOを務めるWarranteeだ。社員はわずか9人。フリーインシュアランス、つまり無料保険について国際特許を申請しており、ナスダック上場の知名度を武器に、世界展開を進める。

 このフリーインシュアランスとはいったい何か?

個人情報を提供し、スポンサーが無料で保証提供

 「自動車保険や火災保険では通常、ユーザーがお金を支払って、保険に加入する。フリーインシュアランスでは、ユーザーが無料で保険をもらえる。その代わり、保険加入時に名前や住所、連絡先など、スポンサーがほしい情報を共有する仕組みだ」と、庄野氏は説明する。

フリーインシュアランスの仕組み

 Warranteeが2019年に実際に行った例を元に解説しよう。ユーザーは不動産投資を行うマンションオーナー、スポンサーとなったのはエアコンメーカーのダイキンだ。

 Warranteeは不動産仲介業大手のセンチュリー21と協業。東京都内のマンションオーナーに、エアコンの保証を無料提供するキャンペーンを行った。オーナーは、エアコンがもし故障しても無料で修理できる。飛びつかないオーナーは稀だろう。10万世帯分、マンションオーナー3000人が参加した。

 この保証料を、スポンサーとして提供したのがダイキンだ。ダイキンは販路開拓として、マンションオーナーへのアプローチを模索しており、今回の取り組みによって、エアコン保有状況の情報や、10万世帯分のマンションオーナーへアプローチできる情報を得た。

 「メーカーはモノは作っているが、それが実際に誰に使われているのか分からない。ユーザー情報を得たいという潜在的なニーズがあった」(庄野氏)

Warranteeの庄野裕介CEO
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