元「雨上がり決死隊」で、現在はユーチューバーの宮迫博之氏が3月1日、東京・渋谷にオープンした高級焼き肉店「牛宮城」。大失敗するのではないかとの前評判を覆して、連日盛況だ。
オーナーの宮迫氏をサポートして、牛宮城を建て直したといわれるのが、高級ハンバーガー店「ショーグンバーガー」を6店経営する、ガネーシャ(富山市)の本田大樹社長。ガネーシャは、牛宮城の店舗運営を委託されている。
本田氏は、富山の老舗焼き肉店で1987年に創業した「大将軍」の2代目でもあり、焼き肉のプロだ。大将軍から敏腕の料理長も馳(は)せ参じて、牛宮城のメニュー作成、ブラッシュアップをした。
ガネーシャは、焼き肉やハンバーガーで成功している外食企業。普段の実力を出せれば、当然牛宮城も好評なはずだ。訪問したユーチューバーたちの体験動画をチェックしてみると、総じて料理の味は評判が良い。
しかし、サービスに関しては、課題が山積みと見受けれられる。
オープンしたばかりなので、スタッフが手慣れておらず、仕方ない面がある。しかし、オープン初日や2日目に行った人がアップした動画からは、次のような不満が出ていた。
スタッフがメニューを間違える、調理担当がタン塩に肝心な塩を振り忘れる、料理の提供が非常に遅くて営業時間終了間際になって一度に出てくる、まだ午後7時頃なのに店の名物とうたっているメニューを幾つも切らしてしまう(仕込みが悪い)、スタッフが最初に料理を運んできた時にロースターの火を点け忘れて戻ってしまうといった具合だ。
およそ高級店らしからぬ、お店が全く回っていない実情が、複数のユーチューバーから報告されていた。
料理の注文を取る際に、テーブルに設置してあるスマートフォンでスタッフを呼び出して、スタッフの顔を見ながら音声で会話するというテレビ会議システムを導入したのは画期的だ。しかし、うまく通信ができなくて直接スタッフが聞きに来たり、スタッフがオーダーを間違って記録したりするエラーもあった。コロナ禍でもあり、注文を非接触にしながらも、人と人のぬくもりが伝わる仕組みを採用したアイデアは良いのだが、システムが不安定。きちんと動作を検証しないまま、営業を開始したのが明白だ。
タッチパネルだと、注文と会計が即座に連携可能で、スタッフが間違った料理を運ぶミスを減らせるメリットがある。
オープン2週間前くらいになって、急きょオープニングスタッフを募集した影響が出ている。長い準備期間がありながら、なぜその時期まで求人をしなかったのか。のんびりと構え過ぎていたのではないか。
しかも、募集広告によれば、アルバイトの時給は1100円から(研修期間は1050円)となっていて、東京都の最低賃金である1041円に近い。一般に、飲食店の求人は集まりにくく、底辺に近い時給では厳しい。しかし、牛宮城の場合は有名人に会えるというのがインセンティブになり、この時給でも人材を確保できているようだ。
ただし、どんなに経験を積んだレストラン経営者でも、オープン日から数日のオペレーションは、どうしてもバタバタになってしまうものだ。1カ月もすれば落ち着いてくるから、本当の評価はもう少し経過してみないと下せない。
牛宮城の浮沈を左右するキーマン、本田氏率いるガネーシャはどのような事業を行っているのだろうか。その“正体”にスポットを当ててみた。
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