「無料」と聞いていたのに、利用規約に小さな文字 悪質な求人広告の“罠" 再び増加沖縄県内の小規模事業所で

» 2022年04月05日 16時56分 公開
[沖縄タイムス+プラス]
沖縄タイムス

 インターネット上に無料で求人広告を出すと勧誘され、一定期間を過ぎると高額な料金を請求されるケースが県内の小規模事業所で相次いでいる。同様の事例は2019年に本紙の報道で発覚後、新型コロナ禍で減少傾向だったが、第5波が落ち着き求人需要が伸び始めた昨秋から再び増えている。専門家は「県内の被害は数百件以上だろう」と指摘している。(編集局付・豊島鉄博)

無料求人をうたい高額請求するイメージ

 消費者問題に取り組む高良祐之弁護士によると、県外の広告会社から「無料の求人広告を出しませんか」などと営業の電話がかかってくるケースが多い。

 いずれ料金が発生する点は詳細な説明がなく、送られてきた利用規約に小さな文字で記されているだけ。数週間後に自動的に有料になり、15万〜60万円ほどの高額な金額を文書で請求される事例が大半だ。

 高良弁護士が全国の弁護士に確認したところ、トラブルを起こしている広告会社は昨年1年間に20社以上確認された。各社の求人サイトに掲載されている県内の求人件数は、今年2月時点で500件を超える。

 高良弁護士は、県内で弁護士への相談は20件程度とするが「氷山の一角に過ぎない」と強調。「裁判で詐欺と認定された判決も出るなど、悪質商法だ」と警鐘を鳴らす。

 県庁の臨時職員の求人広告が掲載されているケースもある。県の担当課は本紙の取材に「詳細は把握していない。掲載料金の請求などもない」と回答。沖縄労働局の担当者は「ハローワークのウェブサイトに掲載されている情報を引用している可能性がある」としている。

 高良弁護士は「新たな被害者を生み出す実績づくりに悪用していると考えられる」と指摘。「慢性的に人手が不足している保育所や介護施設、障がい者支援施設などが特に狙われている。被害を受けたら弁護士会など、相談機関に連絡してほしい」と呼びかけた。

 本紙は複数の広告会社に電話で取材を申し込んだが、回答は得られなかった。

 沖縄労働局の発表では、県内の2月の有効求人倍率は前月比0・01ポイント改善の0・86倍。まん延防止等重点措置の解除などを受け、4カ月連続で上昇した。事業所が2月に提出した新規求人数は1万2369人。前年同月比17・6%増で、11カ月連続で増えている。

Copyright © The Okinawa Times All rights reserved.