財務省が為替介入を行う場合、例えばドル売り・円買いであれば、米国の理解を得られるかがポイントになりますが、米国は現在、インフレに直面しているため、安易にドル売り・円買いを容認するとは思われません。また、日銀の金融政策は、物価の安定を図ることと、金融システムの安定に貢献することを目的としており、為替レートの安定は金融政策の目的ではありません。
以上より、現時点で財務省が為替介入を行い、日銀が金融緩和を修正する可能性は極めて低いとみています。政府・日銀が注視するのは、円安進行の速度や国内経済への影響であり、為替レートの特定水準ではありません。そのため、この先、円安進行が加速すれば、政府・日銀はそれをけん制する発言をするものの、国内経済への影響がよほど深刻なものとならない限り、為替介入や金融緩和修正までは踏み込まないと考えます。
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。
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