なぜ「ゴロフキンvs村田諒太」は成立したのか アマゾンがPrime Videoに賭ける“ライバルとは異なる想い”本田雅一の時事想々(4/5 ページ)

» 2022年04月16日 07時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

日本のクリエイターの“ホーム”でありたい

 「顧客が望むコンテンツを全て配信できれば理想ですが、それはできません。現時点でわれわれがお客さんに提供できるのは選択肢を提供することです。見放題に観たい作品がなくとも、レンタルならば観られる。気に入った映像作品の原作がコミックであるなら、原作コミックを読みたい。さらには関連商品を購入したい。アマゾンにはさまざまなコンテンツ、商品があらゆる形式で楽しめるようになっていますから、大好きな作品を地続きで楽しんでいただけます」と児玉氏は話す。

 先日開催された「Prime Video Presents」では、これまで人気を博していた「ドキュメンタル」「バチェラー」「バチェロレッテ」「マスクドシンガー」に加え、30年ぶりに復活する「風雲たけし城」の制作発表が大きな話題となった。

 “たけし城”は世界中でヒットした作品だが、制作したTBSがその後、SASUKE(サスケ)としてよりスポーティな企画にアレンジ。サスケ自身が世界中で観られた他、その番組企画が輸出されて各国制作版の“Ninja Warrior”として現在も大人気シリーズになっている。日本の番組企画(フォーマット)輸出例の中でも、突出して成功した事例になっている。

 その現代版をリブートしようというのも、やはり海外版が制作されるほど人気になっているドキュメンタルと同様、海外での視聴やフォーマット輸出を意識したものだ。背景には“日本の制作チーム”として、日本のクリエイターの創作力をプライム・ビデオのネットワークでグローバルに広げたいという意図がある。

 プライム・ビデオのオリジナルコンテンツを日本で制作している責任者の早川敬之氏は「われわれは20年、30年という長期的な視野で日本に根を下ろしたコンテンツ制作をしていきます。たけし城が30年ぶりにリブートされたように、世界中で視聴できる環境を提供できるプライム・ビデオを通じ、数10年後にも”あの作品”と思い出してもらえ、すぐに視聴できる作品を作る。そのために、日本のクリエイターの”ホーム”でありたい、というのが私たちの基本的な考えです」と話した。

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