「回転すし」好調も、原材料高騰と円安で「100円皿」存続の危機帝国データバンク調べ

» 2022年05月11日 13時15分 公開
[ITmedia]

 回転すし市場が好調だ。帝国データバンクの調査によると、2021年度の国内回転すし市場は、前年から約600億円増加し、7400億円を超える見込みとなった。同社は「コロナ禍での苦戦はありつつも、テークアウトが好調なことに加え、地方の回転すしチェーンでの帰省による“ごちそう需要”や観光客向けの需要が復調傾向にある」と分析する。

すし 2021年度の国内回転すし市場は7400億円超え

 また、休業や時短営業が多かった20年度と比較し、店内飲食が回復。テークアウトでは需要がつかみにくかったデザートやラーメンなどの高額商品の売り上げ好調も重なった。

すし 回転すしの1世帯当たり消費額(帝国データバンク調べ)

 積極的な店舗展開も業績を押し上げた。大手5社の店舗数を調査したところ、22年2月末時点では約2200店となり、コロナ前の19年度から150店増加。郊外ロードサイドを軸に店舗網を広げてきた大手回転すしチェーンでは、新たにターミナル駅近隣に小規模店を出店するなど、これまで手薄だった都市部での開拓をより強化する動きがみられる。

すし 回転すし市場・期末時点店舗数 推移(帝国データバンク調べ)

原材料高騰と円安で「100円皿」が存続の危機

 一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴うロシア産水産品の禁輸や物流網の制限などにより、世界的に水産品の価格が高騰している。イクラやサーモンなど人気の定番商品では値上げを実施したチェーンもある他、高級ネタを割安に提供する販促キャンペーンが打ち出しにくいなど、原材料高による影響が既に出始めている。

 同社は、「急激な円安も重なり、今後も大幅なコスト上昇は避けられない。過去1年で値上げを実施した外食企業は3割に達するなか、これまでの1皿100円といった安価で食べられなくなる可能性もあり、今後の動向が注目される」としている。

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