ところが5月10日に入ってすぐ、USTの価格はドルとの連動を外れて下がり始める。数時間後には0.7ドルを切り、連動は失われた。
きっかけは不明だ。「こういうもののきっかけは分からない。誰かが仕掛けたのか、同時多発的に起きたのか」と橋本氏も言う。
USTの価格が下がれば、それを買って1ドル分のルナに替えようとする動きが起きる。先に書いたアービトラージ、UST価格を維持する仕組みだ。ところが、アービトラージャーは手に入れたルナをすぐに売却する。ルナ自体も仮想通貨であり、価格が安定していないからだ。
するとどうなるか。USTには買い圧力がかかり価格が上昇する一方、ルナはアービトラージの都度売却されることになり売り圧力がかかる。タイミングの悪いことに、ルナは5月5日あたりから価格が下落傾向にあり、時価総額は196億ドル(約2兆5400億円)とUSTの発行量に近づいていた。
そこに5月10日、USTの価格下落を発端とした大規模なアービトラージが重なり、ルナの売り圧力はさらに増していく。結果、ルナの時価総額は急減し、10日の終わりには約100億ドル(約1兆3000億円)まで減少した。
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