浅草の“深い傷跡” キレイなまま閉業・休業するホテル続々、インバウンド消失の誤算歩いてみた(1/4 ページ)

» 2022年05月31日 09時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

 6月10日から、訪日観光客の受け入れが再開する。入国数は合計で1日2万人まで、添乗員付きツアーによる団体旅行客からの入国と制限はあるものの、満を持しての受け入れ再開に、観光業界から喜びの声が上っている。一方で、これまでの2年2カ月もの間インバウンド需要を失ったことによる、観光地へのダメージは大きい。

 日本伝統の施設や文化を楽しめる浅草(東京都台東区)は、ご存じの通り訪日観光客に人気の高いエリアだ。特に浅草エリアを南北に走る国際通りには、大小さまざまなホテルと飲食店が立ち並び、コロナ禍以前はスーツケースを引く観光客でにぎわっていた。浅草を代表する高級ホテルである「浅草ビューホテル」も国際通りの中心に建っている。

 現在、同通りを歩いてみると、閉業しているホテルの多さに気付く。特に、建物は新しいのに人の気配は全くないホテルが多い。

国際通りを、南から北へ

 国際通りを、寿四丁目の交差点から北に歩いてみる。国際通りと浅草通りが交わる交差点で、西側には東京メトロ銀座線の田原町駅があり、南には、蔵前エリアが広がる。

 すぐ右手に、相鉄ホテルズの運営するビジネスホテルチェーンの、「ホテルサンルート浅草」が現れる。同ホテルは営業をしているが、そのすぐ隣に全てのカーテンを締め切って、閉業をしているホテルがある。

「ライトニングホテル浅草」。右に見切れている建物が「ホテルサンルート浅草」

 この「ライトニングホテル浅草」は、2019年4月にオープンしたカプセルホテルだ。口コミサイトでは、安価だが設備がきれいで、アメニティーも充実していると評価が高い。しかし、20年4月に「新型コロナウイルスの拡大防止」の観点から臨時休館となった。その後2年間、新しい知らせはない。建物を見ても人の気配はなく、貼り紙などもない状態だ。

つくばエクスプレス浅草駅周辺

 さらに国際通りを北上すると、日本・タイ・インドネシア・フィリピンに国際ホテルチェーンを展開するRED PLANET HOTELSの「レッドプラネットホテル浅草」が営業中だ。飲食店や商業施設の多いエリアで、雷門の前を通る雷門通りと国際通りが交わる交差点のすぐそばだ。つくばエクスプレスの浅草駅も目の前にある。

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