ちょうど1年ほど前に、懇意にしている宿屋大学の近藤寛和氏との話の中で、まさにこの“ビジネスホテルと呼ばないで問題”が話題となった。宿屋大学は、ホテル業界などの人材を育成するビジネススクールとして多くの人材を輩出してきた業界では知られた存在で、近藤氏はホテル現場との交流も深い。
問題提起として良い機会かもしれないと、近藤氏の協力のもとに宿泊に特化・宿泊を主体とする事業者へのアンケートを実施した。当時、別媒体でも結果をレポートしたが以下再掲する。
| 問題ない | 26.3% |
|---|---|
| やや違和感を覚える | 50.9% |
| 非常に違和感を覚える(心外だ) | 15.8% |
| その他 | 7.0% |
やや違和感を覚える・非常に違和感を覚える(心外だ)で約7割という結果。まさに従来のビジネスホテルのイメージとは一線を画す、宿泊特化・宿泊主体ホテルの増加傾向を示している。
バジェットタイプホテル/リミテッドサービスホテルまたは宿泊特化型ホテル/ブティックホテル/ライフスタイルホテル/観光ホテル/エコノミーホテル、バジェットホテル/非日常系リゾート満喫ホテル/観光客型宿泊特化型ホテル/カジュアルホテル/コンドミニアムホテル/スマートホテル/シンプルホテル/フォーカスサービスホテル
さまざまな表現が登場したが、近年の多様なタイプのホテル誕生を物語る結果となった。アンケートとは別に、宿泊特化型ホテルを手掛ける運営会社に「ビジネスホテルと呼ばれることについてどう思うか」と聞くようにしていたが、印象的な答えがあった。
全国へデザイン性の高い宿泊特化タイプのホテルを展開するベッセルホテル開発の瀬尾吉郎社長との雑談の中で、「自らをビジネスホテルとは呼称しないが、ビジネスホテルといわれることは問題ないと考える」という話を聞いた。
ビジネスホテルという言葉を通して、ゲストが自らのホテルブランドへの認知を深めてくれるとしたらそれはそれでありがたいことだが、これまでのビジネスホテルの持つイメージと異なるコンセプトでホテルを運営してきたプライドもある。といった解釈かと聞くと、「そう捉えていただいて問題ない」と語っていた。
アンケートではさまざまな表現が聞かれたが、既存の自らをビジネスホテルと表するブランドとは別に、宿泊特化型タイプのホテルを表現するためのビジネスホテルに代わる何らかのワードは定着するのだろうか。
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