ところで、法華倶楽部というと、筆者個人としては「アルモントホテル」も印象に残るブランドだ。京都駅八条口への開業当初に宿泊した経験があるが、宿泊特化としながらもハイクラスな内容であった。
アルモントホテルは2012年から展開している。この時期といえば、インバウンド活況への序章的な時期でもあり、公式Webサイトによると「観光利用のゲスト向けに開発した」としていて、同社の先駆け的な符号も見える。
この、「新たな観光向けホテル開発」という表現も興味深い。同社が、ビジネスホテルの起源としてビジネス需要を大いに取り込んできたとすると、「新たな観光向けホテル開発」というフェーズは、宿泊に特化したホテルにおいても、近年の観光ブームと訪日外国人旅行者需要が、新たな創出につながったことを示している。
ところで、前編・後編を通して“宿泊に特化”“宿泊を主体”という言い回しをしているが、筆者の造語ではない。業界では「宿泊特化型ホテル」「宿泊主体型ホテル」との表現が定着している。
筆者の記憶の域を出ず恐縮であるが、宿泊特化型という表現は業界専門誌が端緒で、ビジネスホテルという慣用的な表現とは一線を画し、より的確に業態を表していることから業界内で定着していった。
一方で、コンセプト性の高い宿泊特化型タイプの施設には、もはや“宿泊にのみ特化”しているとは言い難いことから「宿泊主体」という表現も一部用いられている。いずれにしても一般的にはなじみのない言葉であるが、宿泊特化型ホテル/宿泊主体型ホテルがビジネスホテルとイコールでないことはお分かりいただけるであろうか。
業界内の話になってしまったが、ビジネスホテルという言葉が持つ“機能性”“利便性”“リーズナブル”といったイメージにそぐわない、宿泊に特化、あるいは宿泊を主体にしたホテルが増加してきた一方、特にメディアを中心としたさまざまなシーンにおいて「ビジネスホテル」というくくりで言い表され続けていることについては、筆者自身のジレンマもあり、何か代わる表現はないものかと考えることは多い。
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