何かを分析する時には、まずカテゴライズすることは理解を深めるために有用というのはよく聞く。先入観を排することは重要なことは言わずもがなであるが、これまで接してきたさまざまな学問から日々の生活に至るまで“くくる”ことで人は生きていると言っても過言ではないとも思う。
筆者個人としてはホテル評論家になった当初、さらに分析すべく実態に即したくくりを試みてみた。カプセルホテルやホステル、ラブホテルなども評論の範囲となったが、これもくくりありきの表現である。とはいえ、比べるからこそ見えてくるサービスのリアリティーも、論評に大きな効用をもたらしてきた。
今回のテーマでいえば、メディアとの間でビジネスホテルという表現に悩むことは、換言すれば宿泊特化タイプのホテルが進化していることを如実に表しているといえるだろう。実態と既存表現の齟齬(そご)――ホテルも含めた宿泊業界が進化している証なのだ。
瀧澤信秋(たきざわ のぶあき/ホテル評論家 旅行作家)
一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了。修士(経営学)。
日本を代表するホテル評論家として利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。評論対象は宿泊施設が提供するサービスという視座から、ラグジュアリーホテルからビジネスホテル、旅館、簡易宿所、レジャー(ラブ)ホテルなど多業態に渡る。テレビやラジオ、雑誌、新聞等メディアでの存在感も際立ち、膨大な宿泊経験という徹底した現場主義からの知見にポジティブ情報ばかりではなく、課題や問題点も指摘できる日本唯一のホテル評論家としてメディアからの信頼は厚い。
著書に「365日365ホテル」(マガジンハウス)、「最強のホテル100」(イースト・プレス)、「辛口評論家、星野リゾートへ泊まってみた」(光文社新書)などがある。
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