もう1つがオリジナルのNFTだ。もともと、Nudgeを使って一定額の決済を行うと、クラブからデジタルコンテンツが特典として送られる仕組みがあった。この特典をNFTとして送付する試みがスタートしている。
例えば、加藤ミリヤ直筆の書や、松井秀喜直筆サインのNFTなどだ。このNFTはアクセストークンの役割も果たしており、NFTを保有しているユーザーだけが見られる加藤ミリヤや松井秀喜の動画も用意した。
現時点では実証実験という位置づけだが、これがまさに「キャッシュレス・トゥ・アーン」だ。発行は、COINJINJAという日本企業が運営するNFTマーケットプレイス「tofuNFT」を通じて行っており、受け取ったNFTは売却することも可能だ。
しかし「再販して一儲(もう)けすることを禁止はしないが、起きにくくしよう」(沖田氏)という考えのもと、現時点では投機につながるような見せ方を控えている。
価格が暴騰したNFTのほとんどは、世界最大のNFTマーケットプレイスである「OpenSea(オープンシー)」上でポリゴン(Polygon)ネットワークを使って発行されている。NudgeのNFTは、敢えてSHIDENネットワークを使い、投機目的のNFTとは一線を引いた。
クレジットカード市場においては、リワードと呼ばれるポイント還元は大きな差別化要因だ。楽天ポイント還元を武器に、昨今急激な成長を見せた楽天カードがそれを物語っている。一方で、加盟店からの決済手数料を原資としているだけに、ポイント還元率は1%程度が限界だ。これ以上の還元は、身を削ったキャンペーンとなり、各社は差別化に苦しんでいる。
そんな中、クラブというコミュニティを絡ませてNFTをユーザーに還元するNudgeの取り組みは、発行側からするとコストがほとんどかからず、ユーザーにとっては価値の高いリワードになり得る。
一方で、NFTを受け取ることの操作の難しさ(ブラウザウォレットのMetamaskをインストールする必要がある)、乱高下するNFT価格にまつわる投機の問題は、今後の課題だ。
概念論ばかりで、なかなか実態がつかみにくい”Web3”だが、◯◯・トゥ・アーンはWeb3の一端を実体験できるものとしても注目が集まる。
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