Venmoは電話番号とデビットカード番号の登録だけですぐに使えるモバイルファーストのサービスです。送金手数料が無料ということもあり、急速に個人間送金の市場を席捲(せっけん)していきました。個人間送金ではお金の支払者と受取者が同じツールを使うことが重要であるため、ネットワーク効果が発生します。Venmoの利用者数が増加すればするほど、消費者はますますVenmoを使うようになっていきました。
Venmoが登場する以前は、小切手やオンラインバンキングを通じて、銀行が個人間送金を独占していました。Venmoの急成長に対して、米国の主要銀行はどのように対抗したのでしょうか?
それは、銀行界の持つ既存アセットを最大限に生かしたジョイントベンチャーでした。もともと米国にはJPモルガンチェース、バンクオブアメリカなど主要7行が共同出資したEarly Warning Services, LLC(アーリー・ウォーニング・サービス)というジョイントベンチャーがありました。
この会社は加盟銀行向けにセキュリティ関連のプロダクトを提供していたのですが、11年からはClearXchange(クリアエクスチェンジ)という送金サービスを提供しています。このClearXchangeをベースとして、17年に誕生した個人間送金サービスが「Zelle(ゼル)」です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング