・システム開発パートナーを通じた参加銀行拡大
Zelleに参加するためには、自分たちでシステムを接続しなければいけませんが、規模の小さな銀行や信用組合ではシステム開発リソースを準備できないかもしれません。そんな場合はZelleが指定する決済システム会社に、Zelleへの接続を依頼することもできます。
これらの戦略が奏功し、Zelleは先行していたVenmoを猛追して、取り扱いボリュームを拡大しています。
22年にはユーザー数、送金金額の両面で、ZelleがVenmoを凌駕(りょうが)している状況です。
Zelleは手数料を完全無料としていることもあり、利用がどれだけ伸びても各銀行の収益にはなりませんが、Zelleは(少なくとも現時点では)見事にVenmoという巨大新興企業を押さえて、個人間送金市場のデジタル化、オンライン化をリードする存在へと脱皮しています。
ここ日本においても、さまざまな業界で今後ますますサービスのデジタル化が進んでいくと想定されます。伝統的な企業でありながらもデジタルの世界で成長を続けるZelleの戦略は、日本の大企業にとっても一つのヒントになるのではないでしょうか。
三井物産株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2017年にGMOペイメントゲートウェイ株式会社に入社。現在は、執行役員、企業価値創造戦略統括本部、経営企画・新領域創造部 部長
Fintech領域における革新的ビジネスの企画・創出がミッションの一つ。次世代ビジネスの種まきのため、社内での新規事業インキュベーションだけでなく、M&A、スタートアップ投資、大手企業とのアライアンス構築など幅広く活動している。趣味は博物館、水族館、科学館などの「館」めぐり。
埼玉県立浦和高等学校、京都大学経済学部卒
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