米国フィンテック市場、成長する新興企業VS. メガバンク勝者はどっちだ(3/5 ページ)

» 2022年07月21日 08時16分 公開
[中山悠介ITmedia]

Zelleの戦略

 17年にZelleがサービス開始した時点で、Venmoはユーザー数5000万人ほどを抱えるトップサービスでした。そんな強敵に勝つためのZelleの戦略をシンプルに整理すると、以下のような特徴があります。

(1)先行するVenmoが強い要素は完全ミートする

・ユーザー数

 個人間送金サービスは送金人と受取人が同じツールを使うことが前提であるため、ユーザー数の大きさがそのままサービスの強さとなります。

 Zelleの特徴は、新しいアプリをインストールする必要がなく、既存の各銀行アプリをそのまま使えることにあります。各銀行アプリにZelleが組み込まれており、ユーザーはいつもの銀行アプリの中からZelleを使った送金が可能です。

 Zelleにはサービス開始時点で米国の主要銀行19行が参加し、口座保有者は76万人に達していました。この既存の銀行顧客をベースとして発足したZelleのユーザー数は、初年度から約1600万人と好調な滑り出しでした。

・送金手数料

 Venmoはアカウント間の資金移動を無料で行うことができますが、Zelleも同様に資金移動にかかる手数料を無料化しました。

・使いやすさ

 Venmoと同様に、Zelleも電話番号またはメールアドレスだけで送金相手を指定できるというシンプルで快適なUXを実現しています。

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