仙台市にある中華料理チェーン店「大阪王将 仙台中田店」の元従業員の男性が、SNS上で「厨房にナメクジが発生している」などと告発した問題は、保健所が立ち入り調査に乗り出すなど、大きな問題に発展した。SNSで自社のネガティブな情報が拡散すると、多数の批判が寄せられる「炎上」状態となり、ブランドも大きなダメージを受ける。炎上を起こさないために、企業はどんな対策を取るべきなのか。この問題に詳しい専門家に話を聞いた。
「所属企業に対する一種の『憂さ晴らし』のような感情も含めて、SNSにリークすることが近年目立ってきている。この流れを止めること自体は難しい」
こう話すのは、「シエンプレ デジタル・クライシス総合研究所」の研究員だ。同研究所は、ネット炎上や情報漏洩(ろうえい)など、デジタル上で発生した危機やトラブルについて研究している。炎上の定義については「企業の発信などに対し、想定を超える批判や誹謗中傷が寄せられる状況」と定めている。
今回の問題では、大阪王将仙台中田店をフランチャイズ経営するファイブエム商事(宮城県石巻市)の元従業員の男性が7月24日以降、厨房に「ナメクジが大量にいる」「店舗でネコを飼育している」などとTwitterで告発。インフルエンサーがこの投稿をリツイート(転載)し、広く知られるに至った。
告発を受け、大阪王将側は翌25日に公式Webサイトに謝罪文を掲載。27日に保健所による立ち入り調査の結果を報告し、虫の発生やネコの飼育など、男性の告発内容をおおむね認め、改めて謝罪した。並行して、当該店舗の清掃や害虫駆除などの対応を済ませたとしている。
今回の問題について、炎上に至った背景や、その後の大阪王将の対応を研究員はどう見ているのか。
――大阪王将が従業員によるSNS上での告発を招いた原因は何だと考えますか
研究員: 衛生面の改善などを求める従業員の訴えに、耳を傾けてこなかったことが1つの原因ではないか。どんなに小さな声に対しても反応を示し、従業員の訴えに応じられるか否かといったフィードバックも含め、会話をしっかり取る必要がある。また、ボトムアップで声を上げやすい職場環境を作ることも、炎上の抑止材料となるだろう。
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