「仕事を調整したのに部下の残業が減りません」 働き方を観察して見えた意外な事実：49歳男性の例から考える（1/5 ページ）

[大槻智之，ITmedia]

※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

　「これだけ仕事を減らしたのになんで残業時間が変わらないんだ？」――狐につままれたかのようにつぶやいたのは、4月に総務部長に就任した木根さん（仮名、49歳男性）です。就任後最初の課題として取り組んだのは、部下の町本さん（仮名、32歳男性）の残業時間の削減でした。就任後にいろいろと試みたものの、思ったほどの効果が上がらずお手上げ状態になってしまったそうです。

「仕事を減らしたのになんで残業時間が変わらないんだ？」（写真はイメージ、提供：ゲッティイメージズ、以下同）

固定残業80時間の是非

　「初任給42万円・固定残業80時間含む」がつい最近ネットニュースで大きく取り上げられていました。その内容の多くは「80時間の是非」についてであり、意見もそれぞれ分かれていたようです。

　なぜ意見が分かれるのかと言うと、実は固定残業について法律では明確に定められていないからなのです。過去の判例から、就業規則に明記する、固定残業を超えた分については1円でも支払うなど、いくつか固定残業として認められるためのポイントはありますが、その中で具体的に「○○時間以内にすること」といったものは存在しないのです。

固定残業について法律では明確に定められていない

　目安として、いわゆる過労死ラインとされる80時間が上限と考える意見もなくはありませんが、特段それが原則なのかというとそうでもありません。