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「仕事を調整したのに部下の残業が減りません」 働き方を観察して見えた意外な事実49歳男性の例から考える(5/5 ページ)

» 2022年08月25日 18時00分 公開
[大槻智之ITmedia]
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具体的な対応方法

 上記以外にも改善見込みのある残業は存在します。職場の雰囲気に流される残業であったり、先々の不安に駆られて必要以上に残業してしまうケースなどです。詳細は「上司に大激怒される「悪い残業」と評価される「良い残業」その違いとは?」を参照してください。

 まず、単に「残業するな」を何度も連呼してもさほど効果はありません。言われた方は「現場も知らないくせに」とか「どうせ把握してないだろう」と、言われた人自身が本腰を入れるには至らないからです。本気で残業時間を減らしたいのであれば、その根本的な原因や課題を発見し、それを解消しなければなりません。

残業 本気で残業時間を減らしたいなら?

 例えば、そもそも業務過多であれば業務量を減らすか、AIでも導入して劇的に効率化を図るしかないし、職場の風土が無駄な残業をせざるを得ない原因となっているのであれば、その風土を管理職自ら本気で変えていかないと改善はできないのです。

 部下の労働時間をマネジメントし、効率よく成果を出すことは管理職の重要な役割です。「残業するな」だけではマネジメントとはいえません。ヒアリングはもちろんのこと、木根部長のように時間をかけて観察するなど現状を把握することから始めましょう。

残業 無駄な残業をせざるを得ない風土は、管理職が本気で変えていかないと改善は出来ない

 一方で、労働者という立場で「どうしても残業を減らすことができない」と考えているのであれば、迷わず上司に正直に話し、素直に助けを求めてください。このような状態の場合は自分では原因や課題を明らかにできる状態にないことがあるからです。

 何となく評価や評判を気にして一人で抱え込んでしまうと悪い結果を招く可能性が大いにあります。ひょっとしたらメンタル不全に陥っているかもしれません。自分を守るためにも、一人で考えこまず、上司や同僚の力を借りて解決を図ってください。

残業 労働者という立場なら、一人で抱え込まない

 このように「これをやれば残業を無くせる」といった万能薬はどこにも存在しません。現状を把握し、それに合った対応をとること以外に方法はありません。やるべきは(1)現状把握する仕組みを作る、(2)課題解決のノウハウを共有する仕組みを作る、(3)個別ではなく組織で解決する仕組みを作るといったことが重要です。労使協力して働きやすい会社を作りましょう。

著者紹介:大槻智之

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1972年4月、東京生まれ。2010年3月、明治大学大学院経営学研究科経営学専攻博士前期課程修了。経営学修士。特定社会保険労務士、傾聴アソシエ、採用定着士、ジョブオペ認定コンサルタント、仕組み経営コーチ、500社を超えるクライアントを抱える社会保険労務士法人・大槻経営労務管理事務所の代表社員。採用、目標管理、評価制度、業務改善、経営仕組み化支援までHR全般を手掛ける。人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、300社(社員総数20万人)にサービスを提供する。


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