米アップル、衛星通信サービス提供 基地局圏外でも救助要請可、11月に米国・カナダから：「iPhone 14」ユーザーには2年間無料提供

[ITmedia]

　米アップルは9月8日、人工衛星を使った通信サービスを提供すると発表した。山中などで遭難した際、通信環境がない場所からでもレスキュー隊に救助要請を出せるようにする。11月から米国・カナダの2カ国から先行して提供する予定で、同日発表した「iPhone 14」のユーザーは2年間無料で利用できるという。

人工衛星を使った通信サービスを提供する（提供：ゲッティイメージズ）

　通常は各キャリアが設置した最寄りの基地局にアクセスし、通信するという仕組みだったが、海や山などでは基地局の電波が届かないケースがある。そうした場合、人工衛星を使った通信が必要となるが、利用するには大きなアンテナが付いた専用機器が必要だった。

ソフトバンクが提供する衛星電話「501TH」

　そこで同社は、衛星通信用の部品とソフトウェアを独自に開発。同日発表した「iPhone14」シリーズに搭載した。遭難などの緊急事態では、レスキュー隊に迅速に連絡する必要がある。このため、専門家とともに質問事項を作成。文字入力による連絡ではなく、選択肢形式で自身の状況をレスキュー隊に伝達できるようにした。人工衛星経由で最寄りの基地局にアクセスし、最速で15秒、遅くとも数分でレスキュー隊と連絡できるようになるという。

選択肢を選んでレスキュー隊に自身の状況を伝える

　緊急時以外でも、ハイキングなどで同伴者との距離が離れた際に、自身の位置情報を共有できるようにもした。同社によると、サービスの実現には「何年もかかった」といい、こうした機能が「iPhone体験に欠かせないものだと信じている」としている。

衛星通信の仕組み

ハイキングの同伴者に自身の位置情報を共有することも可能