ラボでさまざまなものを作れる技術は今後ますます洗練され、質が高まっていくと考えられる。私たちの想像以上に、多くのものが、本物そっくりに作られるようになるはずだ。そうなると、モノの価値観から、ビジネスの環境、ビジネスモデル、カネの流れから国家財政にまでも影響を与える可能性がある。サプライチェーンやコストの概念も大きく変わるかもしれない。
とにかく「ラボ」から生み出されるものが、かなりのインパクトを人類と地球に与えることになるだろう。この瞬間も、ラボから、世界的な問題を解決するかもしれないエシカルなイノベーションが生み出されているのかもしれない。
その半面、日本に目を向けると、何年も前から批判されてきた「フロッピーディスク」を、デジタル庁が撤廃する方向で動き始めた。このことを「デジタル改革のスピードアップ」と評価するような報道があったが、それは改革でもなんでもない。海外でもそのニュースは報じられていたが、世界第3位の先進国の話にしては恥ずかしすぎる内容で、だからこそ海外で記事になっていたのである。
日本もぜひ、「ラボ」で進められている代替食品の開発のように、長期的な視点で世界を見て、これから本当に強化すべき道を見定めてもらいたい。
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
7カ月で3000台! 無名ブランドの「ピザ窯」が、なぜ売れているのか
“絶滅危惧種”と呼ばれた「ドムドムバーガー」は、なぜ蘇ったのか
吉田カバンが「1+1=3」の発想 リュックが2つに分かれる新作にびっくり
ウェンディーズは「いま」どうなっているのか わずか1店舗からの“ウルトラC”
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング