リテール大革命

日本で本当にECは拡大しているのか? EC化率が8%台でとどまる世界4位だが……(2/3 ページ)

» 2022年10月05日 08時59分 公開
[INSIGHT NOW! 編集部INSIGHT NOW!]
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 中国やアメリカと違い、国土が狭い分、すぐに買い物に行けるという理由はかつてから言われたが、コロナ禍で家から出るなと言われたにもかかわらず、さほどのEC化率の増加を見せなかったことを考えれば、それも違うのではないかと思える。日本人固有の「きれい好き」「清潔」の価値観を低いEC化率の理由に挙げる人もいる。

 確かに、徐々に増加しているとはいえ食品関連のEC化率が低いことを考えると、自分の口に入れるものに関しては自分の目で見てからでないと買わないという日本人の価値観の側面はあるかもしれない。ただ、インスタント食品やレトルト食品に対する意識調査を見ると、日本人全体として「食への意識」が諸外国と大きく違うとも思えない。

ユーザー側、企業側からの要因

 さまざまな理由が考えられると思うが、ユーザー側、企業側、商習慣の観点から見てみよう。

 まず、ユーザー側からしてみれば、特に都市部において、買い物に出かけることに不自由がないことがひとつ挙げられるだろう。都市部においては歩けばすぐにコンビニがあるような状況であり、配達の日時指定がある程度できるとはいえ、欲しいと思ったときに手に入る利便性は捨てがたい。こうした物販流通網の整備があればECの必要性もそれほどでもないかもしれない。

 とはいえ、もっとも大きいのは、実質賃金が増えないなかでの消費意欲の低迷ということだろう。通販(EC)ということは、物流コストがどうしてもオンされるものであり、少しでも節約しようと思えば、自分で買いにいくしかない。好きな飲食店には並ぶことも辞さない日本人の特性を考えれば、少しでも余裕が生まれれば、いつどこでECのブームが起こってもおかしくはない。

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