なぜ山善の「焼肉グリル」は25万台も売れたのか 開発のヒントが面白い水曜日に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2022年09月14日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 家電量販店のホットプレート売り場に足を運ぶと、たくさんの商品が並んでいる。オシャレなデザインをウリにしていたり、プレートを薄くして軽いことをアピールしていたり、一人でも楽しめるサイズであったり。そんな中で、肉を焼いたときにでてくる煙を抑え、油が飛び散るのを少なくしたアイテムが売れている。山善の「焼肉グリルシリーズ」だ。

 「いやいやいや。他社からも同じようなモノが出てるでしょ。商品の箱に『煙が少ない』『油ハネを抑えた』と書かれた製品があるし。それとどう違うの?」と思われたかもしれないが、あとで紹介するのでもう少しお待ちいただきたい。

第1弾の「XGRILL」は、2020年7月に発売
同社の既存商品と煙の量を比較(右が「XGRILL」)

 「焼肉グリルシリーズ」の第1弾は、2020年7月に登場した。以前から、同社でもホットプレートは扱っていたものの、「年間1万台ほど売れれば『まずまず』といった評価でした」(担当者)。しかし、である。第1弾の「XGRILL」(5478円)を投入したところ、2カ月で1万台を超えたのだ。

 その数字に満足して、「やれやれ。今年のボーナスはちょっと期待できるかなあ」とカルビの上を食べながら、喜びの余韻にひたっていてもおかしくはなかったはずだが、第2弾の登場が速い。翌21年4月に、マルチスペースを設置した「XGRILL +PLUS」(7678円)を発売したところ、こちらも売れに売れた。

焼き具合を比較。左は同社の既存商品、右は「XGRILL」
油ハネを比較。左は同社の既存商品を使ったとき、右が「XGRILL」

 先ほど「年に1万台ほど売れれば『まずまず』」といった話をしたが、21年9月時点で累計11万台を出荷(XGRILLとPLUSの計)。つまり、1年半ほどなので、1万5000台売れれば「まずまず」であるのに対し、7倍ほどの数字をたたき出したのだ。となるとカルビ上に加えてハラミの特上を堪能して、温泉にでもつかりたい気分である。「え、ひょっとして、第3弾もすぐに登場したの?」と思われたかもしれないが、その通りである。

 21年9月に、さらに進化した「XGRILL PREMIUM」を投入したところ、こちらも人気を博していて、22年7月時点で累計25万台も売れているのだ(XGRILL、PLUS、PREMIUMの計)。しかも「XGRILL PREMIUM」の価格は1万9800円である。第1弾のモノと比べると、価格は4倍ほどであるにもかかわらず、好調に推移しているという。

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