リテール大革命

日本で本当にECは拡大しているのか? EC化率が8%台でとどまる世界4位だが……(1/3 ページ)

» 2022年10月05日 08時59分 公開
[INSIGHT NOW! 編集部INSIGHT NOW!]
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 経済産業省は、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態を取りまとめた。

 調査によれば、令和3年の日本国内のB2C-EC市場規模は、20.7兆円(前年19.3兆円)と、前年比7.35%増だったという。世界各国との比較でいけば、日本のEC市場規模は中国、アメリカ、イギリスに続いて4位となっている。この発表を受け、日本においてもECが非常に成長しているという論調が目立つ。

 しかし、果たしてそうなのか。EC化率(全ての商取引金額に対する、電子商取引市場規模の割合)はわずか8.78%で、前年より0.7ポイントの上昇にとどまっている。つまり、ECの市場規模では世界4位だが、世界各国に比べればEC化率の伸び率は低く、ECの市場規模でも今後は世界においてもシェアは少なくなっていくのではないか。

なぜ日本のEC化率は伸びないか

 これだけECの隆盛が言われるなかにおいても、EC化率が1割にも届いていないのはなぜだろうか。アメリカでも13%台で推移していると言われ、日本はどう考えてもEC化率が低いままだと言わざるを得ない。

 個人消費の伸び悩みに対してECの伸びは顕著であり高い成長率だと評価する向きもあるが、世界でも類を見ない充実した物流網やデジタル端末の普及率、約85%と言われるクレジットカードの保有率(18歳以上)、そしてきめ細かいサービスのノウハウを考えれば、世界各国の中でもEC化率が低くなることはなさそうに見える。

 実際に、商品アイテムごとに見れば、「書籍、映像・音楽ソフト」(46.20%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(38.13%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(28.25%)となっており、アイテムによっては高いEC化率が実現している。この事実を考えれば、2割程度のEC化率となっていてもおかしくない気もする。

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