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優秀人材の獲得に異変! 見捨てられる企業、選ばれる企業の深刻な二極化(2/3 ページ)

» 2022年11月29日 05時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]

変わる「転職先の選び方」

 エン・ジャパンの「エン転職」サイト内の検索キーワードランキングによると、2021年の2位に「在宅」が入り、以下、3位「フルリモート」、4位「完全在宅」、5位「リモート」だった。特に「フルリモート」と「完全在宅」は2020年のそれぞれ23位と31位だったが、転職先選びのキーワードとして急速に定着した。

 また同社の「コロナ禍のテレワークの実態調査」(2022年4月13日)によると、「テレワークできることは、転職先を選ぶ上で影響しますか?」との質問に対し、「影響する」と回答した人が40%を占めている。世代別では20代が41%、30代が45%を占めるなど転職志向の高い世代ほどテレワークができることが転職の重要な判断要素になっている。

エン・ジャパン「コロナ禍のテレワークの実態調査」(2022年4月13日)

若手優秀人材に見捨てられる企業、選ばれる企業

 実際に在宅勤務を週3日まで認め、コアなしフレックスタイムを導入している建設関連会社の人事担当者はこう語る。

 「自由度の高い働き方を前面に打ち出しているわけではないが、転職志望者の決め手の一つになっているようだ。最近入社した中途採用者にインタビューすると結構喜んでいる。特に女性は『結婚してから育休に入ったときのことを考えるとリモートワークができるのは魅力的です。また、フレックスタイムなので時間の使い方も自分の裁量でできるのでありがたいです』と言っていた」と語る。

 自由度の高い働き方を人材の定着や採用戦略の1つに据えているのが前出のヤフーだ。国内のどこにでも自由に居住できる新制度の開始後、130人超の社員が飛行機や新幹線で通勤する遠隔地に転居。最も多い転居先が九州、次いで北海道、沖縄の順だったという。東京本社に勤務する約7000人のうち、約400人が1都3県以外(遠隔地も含む)の地域に移ったそうだ(『日本経済新聞』2022年8月30日付朝刊)。

 人材の採用においても導入前の2021年9〜12月と、導入後の22年4〜7月を比較すると、中途採用の応募者数が6割増加。全体の応募者数のうち約3割が1都3県以外の地域だったという。

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