転職先は「退職金がない会社」だった 不安だが、大丈夫なのか?Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(2/2 ページ)

» 2022年11月29日 05時15分 公開
[卯城恒生ITmedia]
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任意加入の「iDeCo」

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 他にも、最近よく目にする「iDeCo(イデコ)」というものがあります。これは個人型確定拠出年金のことで、国民年金や厚生年金などの公的年金とは異なり、加入するかしないかは任意です。加入の申し込みや掛金の拠出、掛金の運用の全てを加入者自身が行い、掛金と運用益の合計額を基に給付を受けられます。公的年金と組み合わせることで、より豊かな老後の生活を送るための一助となる仕組みです。

 自営業者で将来の年金額が少なくなることが予想されていたり、退職金制度のない企業に勤めていたりする場合には、老後の生活における資金準備に役立つ制度なのですが、原則として60歳以降でないと老齢給付金を受け取れないため、今の生活で短期的に必要となる手持ち資金を充てることはおすすめできません。

月次給与や賞与額に上乗せし支給しているケースも

 賃金水準や退職金制度の有無、その他福利厚生の実施状況を調査する場合、比較的大企業からの回答が多く集まる傾向にありますので、前記の厚生労働省による調査でも退職金制度を導入している企業の割合が圧倒的に多く見受けられました。

 一見すると退職金制度のない企業というのは魅力がないようにも見えますが、企業によっては将来の不確定な要素を考慮して、退職金という形ではなく月次給与や賞与額に上乗せし支給しているケースも多くあります。ただし、退職金には税法上の優遇があるため、給与や賞与で受け取った場合には退職金に比べて高い税率が適用されます。その辺りも複合的に考慮しながら就労環境を決めてはいかがでしょうか。

著者:卯城恒生(うじょう・こうき) 社会保険労務士

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1974年神奈川県横浜市生まれ。2007年に社会保険労務士試験合格後、2009年に卯城社会保険労務士事務所を設立。

労働関係法規に関する助言を行い、適切な労務環境の整備を図りながら、中小企業の発展を支援することを得意としている。


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