転職先は「退職金がない会社」だった 不安だが、大丈夫なのか?Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(1/2 ページ)

» 2022年11月29日 05時15分 公開
[卯城恒生ITmedia]

連載:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン

働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。

Q: 諸事情あって転職活動をしていたところ、このたびある企業から内定をもらうことができました。入社後の処遇について担当者と話をしているうちに、就職を予定していた企業には退職金がないことが分かりました。

 私は新卒以降同じ大企業に勤めてきたので、退職金がないことに驚きました。法律上の問題はないのでしょうか。また、しっかりした企業なのか不安を覚えますが、大丈夫なのでしょうか。

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photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

A: いわゆる日本的雇用慣行では、年功序列型賃金と併せて終身雇用制度が導入され、定年退職時に退職金が支給される企業が多く見受けられましたが、「定年退職時には退職金を支払うべき」という法律はありません。退職金の有無や退職金の種類などは、その企業の定めたルールに従うことになります。

約2割の企業には退職金制度がない

 退職金とは、退職するときに企業から退職者へ支払われる金銭のことです。働く人の保護を目的とした法律には、労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法などがありますが、その中で退職金制度を導入しなければならないという法律は特にありません。ただし、労働基準法において、退職金制度を導入した場合には、その対象者や退職金の額、支払時期などについて、就業規則で定めなければならないとの規定はあります。

 厚生労働省が実施した「平成30年就労条件調査」によると、約2割の企業では退職金制度がありません。従業員数が少なくなればなるほど、退職金制度を設けていない企業の割合が増えてきます。

photo 退職金がある企業の割合(平成30年就労条件調査より)

 退職金制度には、退職時に一時金で支払われる退職一時金制度と、退職後の一定期間定期的に支払われる退職年金制度があります。退職一時金制度には、企業が独自に内部で資金を積み立てる方法の他、一定の規模以下の中小企業が加入できる中小企業退職金共済制度というものがあります。また、退職年金制度には確定給付型企業年金や、企業型確定拠出年金などがあります。

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