エッジAIと比較されるのが、クラウドを使ったAIです。デバイスで集めたデータを一度クラウド上のデータセンターに送りAIで解析する方式で、数年前のAIブーム時にはクラウドを使ったAIが主流でした。しかし、いくつかの課題が生じ普及が進まなかったといえます。
その課題の1つがコストです。カメラで取得した映像といった大量データをクラウドに送り続けると、通信コストやサーバへの負荷がかさみます。例えば、大規模な商業施設や工場などで複数のデバイスを数千台単位で稼働させる場合は莫大なコストが発生してしまいます。
もう一つの大きな課題は個人情報の取り扱いです。2010年代後半、欧州を中心に個人情報をクラウドに集約することへの規制が強まりました。
これらの課題を踏まえ、近年はエッジAIを使った方式に注目が集まってきました。エッジAIでは、AIがデバイス側で処理を行うのでクラウドとの通信は少なく済みます。また個人情報もデバイス内で処理するので、クラウドに送信されるのは最低限必要な情報のみです。
一方、エッジAIではデバイス側で複雑な処理を行う都合上、デバイスに高性能なプロセッサを搭載する必要があります。しかしここ数年で安価で高品質なプロセッサが普及したことにより、この課題は解決されつつあります。
いずれにせよ、世の中のニーズと技術の進化がかみ合ったことで、エッジAIを使ってコストを抑えながら人のデータを解析するシステムが実装可能になってきました。つまり、ユニットエコノミクス(1顧客あたりの採算性)が向上してきたのです。
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