ABEMAを中心とするメディア事業以外の事業についても、もう少し詳しく見ていきましょう。まずはインターネット広告事業です。
景気の影響を受けているとしつつも市場成長率が前年比10.0%に対し同社は12.7%の増収と、市場を上回る成長をみせています。インターネット広告市場は今なお成長市場です。安定した成長が見込まれる事業でしょう。
一方で利益面は13%の減益となり、利益率も低下が続いています。これには人員増加が関係しています。同社の中でも特に多く人員を増加させた部門がインターネット広告事業でした。
前期比ではインターネット広告事業が400人増に対して、ゲーム事業が283人増、メディア事業が83人増と成長事業のメディア事業や好調が続いていたゲーム事業以上に人員を増やしています。ここ数年の人員の推移は下記の通りで、ここ2年間ほどで大きく人員を増加させたことが分かります。
これによってここ2年間ほどは利益率が低下傾向にあったわけです。なぜこれだけ人員を増加させているのでしょうか。
2年ほど前から先行投資として、ヤマダ電機やサツドラといった大手小売りやANA、docomo、三菱UFJ銀行といった多くの取引データなど顧客データを持っている企業と連携してデータを活用した新しい広告事業の創出を図っていると同社は説明しています。
大手企業との連携が多く、しっかり収益化できれば業績面への貢献も大きいはずです。この先行投資がどれほど実を結ぶか注目です。
ABEMAやゲーム事業の注目度が高すぎて注目されていませんが、広告事業はゲームに比べ安定性が高く、この事業がしっかりとした柱となることは重要です。大きく人員を増やすなどの積極投資を、市場成長を上回る成長の継続につなげられるでしょうか。
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