「10円パン」に大行列! “韓国を真似ればヒット”の法則は本当かスピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2023年02月14日 09時48分 公開
[窪田順生ITmedia]

ドラマ『六本木クラス』もヒット

 「韓国メーカーが日本のお菓子をパクった」なんて話が出ると、大騒ぎをして「盗作文化」「恥を知れ」なんて親の仇(かたき)のようにディスる日本人も多いが、日本も実は韓国のヒット商品はなんの遠慮もなく真似ている現実があるのだ。

 これは「食」だけではない。例えば、20年に世界的に話題になった韓国の人気ドラマ『梨泰院クラス』が分かりやすい。かつての日本映画は、スピルバーグやタランティーノなど欧米の監督たちにも多大な影響を与えた。そういう気概があるのならば、「よっしゃ、日本でも梨泰院クラスを超えるようないい作品をつくろう」なんて声が上がりそうなものだが、日本のテレビ局はあっさりとこの成功モデルを「流用」することにした。

 そう、テレビ朝日系ドラマ『六本木クラス』だ。

 同局ではだいぶ昔に日本でも社会現象になった米国のドラマ『24』を、いまさらながらリメイクした『24 JAPAN』が大コケした前科があるので、放送前から「失敗しそう」との声が相次いだ。

ドラマ『六本木クラス』も人気

 しかし、フタを開ければ『六本木クラス』はスマッシュヒット。重要キャストの1人が、銀座ホステスへの性加害行為で降板するなどのゴタゴタがあったにもかかわらず、全話平均視聴率は9.34%で、この期間のドラマの中では3位で終わった。同局の担当者たちは「いやあ、やっぱりなりふり構わず真似てよかった」と胸をなで下ろしているはずだ。

 この傾向は、日本が誇る「アイドル文化」でも見られる。最近、男性アイドルグループのビジュアルやダンスを見た後に、BTSや&TEAM(エンティーム)、THE BOYZ(ザボーイズ)などを見れば、瓜二つであることに気付くはずだ。

 これはよく言う「おじさんには若い子の顔は全部同じに見える」的な話ではなく、ヒットの法則にのっとって、日本のエンタメ業界が確信犯的に、韓国アイドルを模倣している。

 分かりやすいのが、デビューから6作連続「シングル」1位という輝かしい記録を持っている人気男性アイドルグループ「JO1(ジェイオーワン)」だ。メンバーはみな日本人だが、彼らは韓国アイドルグループが経験したような、韓国式のオーディション番組で結成され、同じく韓国式のレッスンを受けてデビューをした。

 なぜかというと、彼らが所属しているのは、吉本興業と韓国のエンターテインメント企業「CJ ENM(シージェイ・イーエヌエム)」の合弁会社だからだ。つまり、どう言い訳をしようが、BTSに代表される韓国男性アイドルでの成功モデルを真似たいという思いのもとで、このプロジェクトは始まっているのだ。

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