さて、このように今の日本ではあらゆる分野で、「韓国でヒットしたものを日本で真似ればそれなりにヒットする」という法則があることが分かっていただけたと思うが、一方でこのようなトレンドを否定的に見ている人も少なくない。
韓国なんて日本の真似ばかりをしていた国から、素晴らしい商品などが生まれるわけがないので、パクったところですぐにメッキが剥(は)がれる――。ネットやSNSではそんな声もよく目にする。
だが、筆者はそうは思わない。確かに、韓国のメーカーなどが日本の商品を真似ていたのは事実だ。「パクリ」と言われてもしょうがないほど露骨にパッケージやデザインをコピーしたモノも珍しくない。が、それとこれはまったく別の問題だ。
なぜそんなことが言えるのかというと、かつて韓国と同じようによその国の商品を真似て「粗悪なコピー国家」なんて蔑(さげす)まれていた国が時を経て世界が真似したくなる商品やサービスだらけの国に成長しているからだ。
その国とは、日本だ。
日本にやってきた外国人が「日本の○○は世界一です」とか「生まれ変わったら日本人になりたい」なんてリップサービスしてくれるようなテレビ番組ばかりを見ている人には、にわかに信じられないような話だろうが、実は今から40年前くらいまでは西側諸国で日本の商品やサービスというと、「欧米の粗悪なパクリ」というイメージだったのだ。
先日、この時代に米国の片田舎へ留学した女性から当時の思い出話を聞いた。10代の彼女は日本からウォークマンを持っていって日本の商品だと説明したら、同級生は「うそつき」と嘲笑った。今よりもアジア人差別がきついということもあるが、何よりも当時の米国の子どもからすれば、日本人にはそんな技術があると思われていなくて、どうせ米国などの製品をパクったと思われたのだ。
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