「褒められて伸びるタイプです」──会話の中でよく聞くフレーズですが、読者の皆さんはいかがでしょうか? 特に若い世代には、叱られるより褒めて伸ばしてほしいというニーズがあるようです。
マネジメントにおいて「褒める」という行為はメンバー(部下)に自身の強みを自覚させ、その強みを伸ばして成長し続けていくために、リーダーができる最良のアクションとされています。しかし、実際は「どう褒めていいか分からない」「何を褒めればメンバーの成長につながるのかが分からない」と悩んでいるリーダーは多いものです。
適切に人を褒めるとは、どういうことなのでしょうか? 人材企業の代表を務める著者のマネジメント経験からお伝えします。
そもそも、リーダーが「褒めて伸ばすのが苦手」と感じてしまうのはなぜでしょうか? まず「褒めることは甘やかすこと」だと多くのリーダーが勘違いしているようです。
リーダー自身が社会人経験の中で褒められて育ってきておらず、マネジメントにおいて褒めること自体の必要性を評価していない場合も決して少なくありません。褒める行為をプラスに感じておらず、またメンバーに対する褒め方を知らないケースです。
営業のノウハウや資料の作り方、報告の仕方に至るまで「こういう風にしなさい」という型があり、その型ができても「これでようやく半人前」というような扱いが一般的だった従来の育成方法は、常に減点方式でした。
イノベーションやDX、新しい働き方の実現など「自分で考えて仕事をする」ということがより重要になった現代で、減点方式は通用しません。メンバーの強みが武器になるようなきっかけ作りと、「社会人としての当たり前」を教えるのが上司の仕事なのだと再認識する必要があります。
ほとんどのリーダーは、メンバーの成長を心から望んでいるはずです。しかし、リーダーはメンバーの成長を全てコントロールすることはできません。
リーダーがメンバーの成長のためにできることは、「期待」と「機会」を与えることです。
成長のためには、最終的にはメンバー自身の力で経験をものにするしかありません。その成長に期待し、メンバー自身がよりチャレンジできる機会や、その人に合った経験を提供し続けてあげることが、リーダーにできることなのです。
そして「褒める」という行為こそ、メンバーに「期待」と「機会」を与え、その人の強みを伸ばし、成長を促すために必要なものなのです。
褒めることを「モチベーションを上げたい」「気分を乗せたい」「関係性を良くしたい」という目的で捉えてしまい、「褒めなくてはいけない」「これが最近の世代にあったマネジメント方法なのだ」と勘違いしたまま褒めたとしても、それは本来の効果を生まなくなってしまいます。
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