2023年に最も「値上げが多かった」食品分野は? 値上げトレンド分析から見えてきた8月には累計2万品超えか

» 2023年03月07日 10時53分 公開
[ほしのあずさITmedia]

 帝国データバンク(東京都港区)は、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査した。値上げラッシュは今春をヤマ場としているが、3月も3000品目以上の値上げを予定している。長期化する値上げラッシュのなか、「値上げトレンド」に変化が表れていることが分かった。

値上げ 3月も3000品目以上の値上げを予定している(画像はイメージ)

 2023年における家庭用を中心とした飲食料品の値上げ品目数は、2月までに累計1万5813品目に上った。このうち1〜4月までの累計品目数は、前年同時期の3倍ペースで推移している。

 また22年に実施された値上げでは、1万5000品目を突破するのに要した期間が9カ月だったのに対し、23年は4カ月早く到達する見込みとなっている。値上げラッシュは収束の気配が見えないまま、8月にも予定ベースで累計2万品目を突破する可能性がある。

値上げ 2023年の食品値上げ(帝国データバンク調べ 以下同)

 23年の値上げを原因別に見ると、値上げ予定の1万5000品目のうちほぼ全てで「原材料高」(99.3%)が挙げられた。そのほか原油高をはじめとする「エネルギー」(86.0%)や「包装・資材」(70.0%)、「物流」(56.0%)、「円安」(21.0%)と続いた。

値上げ 2023年の値上げ要因

 23年3月の値上げで最も多い食品分野は「加工食品」(1753品目)で、単月全体の約半数を占めた。ちくわをはじめとする「水産加工品」のほか、グミや氷菓など「菓子」(593品目)が値上げされる。

 23年は「加工食品」(8022品目)の値上げが最も多く、チルド麺や缶詰製品、ウィンナー製品など大規模な値上げラッシュを控えている。特に注目度が高いのは「乳製品」(760品目)で、飼料高などで生乳取引価格が上昇していることから、牛乳やバター、ヨーグルト製品は4月に一斉に値上げする。乳製品の前年累計1225品目に迫る勢いで推移しており、今後もさらに増加する可能性があるという。

値上げ 食品分野 価格改定の動向

 23年の値上げの早期収束も期待できない。このような状況下で「1回での大幅値上げ」から、コストアップの長期化を見越して柔軟に価格を改定する「複数回・小分けした小幅な値上げ」へのトレンド変化があることが分かった。月ごとの値上げは22年以上に増加する見通しで、値上げ品目数累計は8月にも2万品目を超えると見込んでいる。

値上げ 実施ベースでの値上げ品目動向

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