PR TIMES(東京都港区)は3月8日、自社が運営するプレスリリースの掲載プラットフォーム「PR TIMES」から、金融商品商品取引法(金商法)に抵触する恐れがあるとして、外国為替証拠金(FX)取引関連のプレスリリース計16件を掲載停止にしたと発表した。同社は利用者に謝罪するとともに、再発防止に努める方針だ。
掲載停止となったのは2019年11月15日〜23年2月27日にかけて掲載したプレスリリース。約3年間で計7社、16件に及ぶ。PR TIMESに掲載するため加盟申請した企業が発表したプレスリリースに、金融庁に無登録で金融商品を扱う事業者の商品が含まれていた。同社によると、ランキングなど調査結果のデータに、無登録業者の商品が入っており、利用を推奨するかのような表現もあったという。
日本国内で金融商品を扱うには、金融庁に届け出た上で、登録する必要がある。一方で、無登録のまま営業を続ける事業者もあり、同庁は公式Webサイトで国内外の事業者を実名で公表し、注意喚起を行っている。
同社によると、金融庁の公表資料を見たユーザーが指摘し、発覚したという。指摘があったのは4社4件の案件に対してだったが、同社が調査を進めた結果、不適切なプレスリリースの件数が増加した。
事態を受け、同社は不適切なプレスリリースを掲載した一部企業のアカウントを停止する処分も下した。社数などの詳細は明らかにしておらず、該当企業の中には、不適切なプレスリリースを削除した上で、現在もPR TIMESでの掲載を継続している企業もあるという。
PR TIMESで掲載停止になった企業はどのような企業か。ITmedia ビジネスオンライン編集部の取材に同社は「社名や商品名は明らかにしない」と回答。その理由については「注意喚起は行政機関が行うこと。われわれは注意喚起のために、社名をさらすなど社会的制裁を加える権限は持っていない」と説明した。ただ、金融庁の公表資料に、該当する事業者と金融商品が含まれていることは認めた。
再発防止策として、同社は各省庁の公表情報を注視し、加盟時の企業審査を強化する方針だ。プレスリリース掲載後に社内のキーワード検知システムに新たに金融関連キーワードを追加し、注視する方針も併せて明らかにした。
「PR TIMESは第一に信頼され得る企業発表情報の集合体であることが重要だと考えている。本件の発生を重く捉え、今後の対策を講じる。皆さまへご不安をお掛けしたことをお詫び申し上げる」(同社)
PR TIMESは国内上場企業52%超に相当する7万6000社(2022年11月時点)が利用中の国内最大級の企業情報サイト。07年4月のサービス開始から登録中のメディア記者は2万4000人、配信プレスリリース件数は累計100万件を超え、アクセス数は月間6600万PV以上を誇る。
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