TAIKO‐1は、同社が電子ドラムや電子パーカッションの開発で蓄積してきた技術を生かし、さらには実際の太鼓芸能集団の協力を得ながら試作を重ねて商品化を実現した。電子管楽器と同じように、ヘッドフォンを使えば家庭でも和太鼓を練習できるため、演奏者人口の拡大に寄与できる。
また、従来の和太鼓だとマイクで音を拾わなければ大型の会場で観衆に音を届けることができなかった。電子和太鼓なら音量調節が容易なため、たとえ1台でもオーケストラやロックバンドとの共演が可能だ。肩から掛けて動き回りながらの演奏もでき、ステージ表現の幅を広げる革新性も有している。
ローランドで取締役CIO(Chief Innovation Officer)を務める蓑輪雅弘氏は、商品開発について「どんな製品にも必ず、新しい何かを付けるようにしています」と話す。
「これまで、商品には半歩先を見据えて新たな機能を付けてきました。そして、こちらの意図や想定を超えてミュージシャンの方々が創意工夫した結果、新しい音楽の誕生につながっています。こうしたミュージシャンとの対話を、当社のエンジニアは楽しんでいます」
蓑輪氏が「対話」と表現したような、ミュージシャンの創造性を引き出すことを意識して新たな楽器を作り出すことは、ローランドのお家芸といえる。その結果として、ローランドの電子楽器は、各地のミュージシャンの創作意欲を刺激し、新しい音楽ジャンルの誕生にもつながってきた。ボブ・マーリーがレゲエ音楽を、セックス・ピストルズがパンク音楽を一気に普及させたミュージシャン起点の革命があるように、「この楽器や機材があったからこそ、この音楽が生まれた」という電子楽器起点の革命も存在し、その裏でローランドの電子楽器が活躍してきたのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング