ミニストップ「おにぎり100円」終了の衝撃 あえて具材増量に踏み切ったワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)

» 2023年04月05日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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消えた駅弁風弁当

 ミニストップはおにぎり100円を手掛けていた頃は、弁当でもとがった商品を出していた。駅弁風弁当はその最たるものだった。21年1月から約1年間シリーズ化され、累計100万食以上を販売した。

 狙いとしては、コロナ禍で旅行に行けない人に旅気分を味わってもらう趣旨。鮭はらこめし、穴子めし、たこめしなどを続々と発売。サイズが小さめだったことから女性や高齢者にも好評だった。

 従来、コンビニに来なかった顧客も開拓した非常に優れた企画だった。

駅弁風弁当(599円)シリーズのあなごめし(出所:ミニストップ公式Webサイト)
駅弁風弁当(599円)シリーズの味噌ヒレカツ弁当(出所:ミニストップ公式Webサイト)

 タレ弁は前出の鳥羽シェフとの共同開発で、タレをかけることでおいしさが広がる新発想の弁当。駅弁風弁当に代わって販売された。22年3月にまず、「チャーシュー弁当」「豚生姜焼き弁当」を発売。昼前に売り切れる店が続出し、幻の弁当と化したほどだった。

鳥羽シェフ監修、タレ弁の1つ
鳥羽シェフ監修、タレ弁の1つ

 これも、人気のシリーズとなったが現状は新商品が販売されていない。

 駅弁風弁当はサイズが小さめ、タレ弁もどちらかというと小さめだった。どうも、そこが長続きしなかった原因らしい。

 同社・広報によると、ミニストップの弁当の売れ筋は「でか盛り」なのだそうだ。

弁当は、ずっしり!シリーズなど、でか盛が人気
弁当は、ずっしり!シリーズなど、でか盛が人気

 このように、ミニストップのおにぎりは100円均一を捨て、付加価値追求型に変わった。結果として、競合他社との違いが分かりにくくなったのも事実。これからどう差別化していくかに注目したい。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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