オーブンレンジ「EVERINO」が好調 象印マホービン、なぜ17年ぶりに投入したのかあの会社のこの商品(3/6 ページ)

» 2023年04月14日 08時30分 公開
[大澤裕司ITmedia]

温めムラの解決は食材を浮かせて温める

 稗田氏はEVERINOの商品企画を立てるにあたり、社内でアンケート調査を実施し、レンジの不満を洗い出すことにした。40人近くの社員からレンジに関する不満を集めたところ、一番多かった不満が温めムラに関すること。そこで、まずは温めムラを解消する機能を盛り込むことにした。

 ムラのない温めができる新機能が「うきレジ」である。付属のガラスボウルに食材を入れ、同じく付属する角皿の下部にあるレールに差し込んでから温めるもので、庫内への直置きに比べて全方位でマイクロ波が行き渡るのが特徴。角皿のレールにガラスボウルをセットすると、ボウルは約1センチメートル浮く。

庫内直置きでのレンジ加熱(イメージ)。マイクロ波が底の設置面に集中し、上部と底部で温度差が発生する(同社調べ)。
「うきレジ」でのレンジ加熱(イメージ)。食材を浮かせることでマイクロ波が庫内に広がりやすく、全方位から加熱される

 「食材を浮かせて温めるアイデアは、社内でブレーンストーミングを実施した際に出てきたものです」と稗田氏。食材を浮かせて卵白の温めや、肉じゃがやかぼちゃの煮物の調理で検証したところ、直置きより温度ムラが抑えられることが分かった。

角皿に専用ボウルをセットした際の庫内
「うきレジ」使用時の赤外線センサーの食材検知(イメージ)。ボウルの位置が固定されるので、本体側面に設置した赤外線センサーは食材の温度を正しく検知することができる

 稗田氏は当初、うきレジに関することはすでに他社が特許を出願していると思っていたそうだ。しかし調べたところ、特許は出願されていなかった。他社に先を越されないよう、うきレジに関する技術について急いで特許を出願したという。

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